Vol.48 2011.04.15
発行/編集 全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/

「強い意志と想いに乗せて
大切なものを確実に未来につなげていく」/前編

オーリス株式会社 代表取締役社長 彦坂 充宏

 「ずっとこれからも」を大切に、敢えて困難な道を選択する企業がある。磨きあげられた独特の生産技術とこだわりが、満を持してエンドユーザーに向けられる時、そこに確かな一歩が刻み込まれる。今回は若き経営者が胸に秘めたこだわりと強い想いのこもったプライスレスメッセージ。その前編です。

経営環境に流されない企業姿勢

−まず最初に事業全体のアウトラインをご紹介ください。

 2010年度はこの3月で閉まるんですけれど、実は今期から事業承継で私が代表に就任しています。その時に会社案内のリーフレットを新たに作りまして、その表紙に「ずっと、これからも」とあります。これは、世代が変わってもこれまでの気持ちや守り続けてきた価値観はきちんと引き継がれていて何も変わりませんよという思いを込めさせていただいています。

 当社は1946年に西宮で仁川木工所としてスタートしまして、今日に至っています。この間65年で、私で3代目になります。65年の間には大きな変化も何回かありましたが、われわれがこだわりたいと考えているものをきちんと守り続けてきました。
 具体的には、最近建築、建設業界も非常に厳しい状況が続いており、当社も前期の売り上げが約43億、これは2006年度の57億からずっと落としているのですが、その間も工場の敷地面積、大体68000uあるんですが、これは減らしていないわけです。それから従業員数ですね、現在総数が304人、全体的には団塊世代の退職による自然減で若干減っていまが、年度採用としては毎年きちんと10数名ですが新卒採用を続けています。基本的には人員も減らしていないわけです。このあたりが我々の一つの自負するところ、自慢でもあります。

−経営環境が多少変化してもそのあたりの基本的なところは変えないということですね。

 そうですね。特にやはり人と言う部分ですね。この部分にはかなりのノウハウが貯まっているわけで、その人が承継しつづけて行っているわけで、ここを安易に減らすと、大事な何かがつづかなくなるかもしれないわけです。ですから、経営が厳しくても人の部分には最後の最後まで手をつけないというこだわりを持っています。
 「ずっと、これからも」ということは、その変化に対応し『つづけること』であり、人がその変化を感じ、人がデータと「オーリスらしさ」という経験値などを基に分析、判断し適応することで承継するともいえます。人にはBSには表れない資産があって、ここを減らすということは「ずっと、これからも」ではないということです。

−建築、建設関連ということですが具体的にはどういう事業になりますか。

 事業としてはハウスメーカー様からのOEM家具がメインになります。最近では、グループ会社の取り扱いですが中小のビルダー様、工務店様、さらには一般のエンドユーザー様まで少しずつですが販売をしていこうということで取り組んでいるところです。
 事業としては住宅設備機器製造で、ハウスメーカー様のOEMの収納家具や洗面カウンターの開発と製造がメインです。最近では、グループ会社にCe-Fit(セフィット)という当社オリジナルブランドの販売部門をつくり、ビルダー様、工務店様、設計事務所さらには一般のエンドユーザー様まで少しずつですが販売をしていこうということで取り組んでいるところです。

−業界は厳しい状態が長く続いていたという印象がありますが

 確かに私の友達のなかには金融のバブルや、ITのバブルの時に、大きく弾けた者もいて、それと比べて、木工業界の現状というのは、われわれの同世代、それからもっと下の世代が魅力を感じて、「よし、この業界で頑張ってみよう」と思えるものかどうなのか、そうでないとしたらわれわれが変えなければと強く感じたわけです。ここが一番の問題ですよね。ただし自身にとってはそう決心することが、いい意味での励み、頑張りぬくバネになったわけです。
 今でも、若い子たちが、少しはやる気を持って楽しいと言ってくれるようなそういう会社にしたいなという思いが強くありますね。その為に、組織もカンパニーと言ってみたり、役職もチーフとかマネジャーといった横文字に変えたり、少しは若い子が格好いいと思ってくれるような部分と、市場の原理という厳しい部分を、カンパニーの損益計算書や個人の評価がみえるしくみをつくって競ったり、いろいろとやっているんですよ(笑)。若い子も何かここで、自分の価値を高められる、魅力を感じてもらえるような会社にするために少しずつ取り組んでいるというのが現状です。

循環可能な資源を未来に引き継ぐ

−ここで社長ご自身のご経歴について教えていただけますか。

 学校を卒業して、特によその会社で経験を積むということはしないで、オーリスに入りましたが、そのかわり入ってすぐに現場で8年、そのあとは品質や生産の管理部門を経て、営業部門に入り現在に至っています。基本的には社内ですが、ずっと勉強してきたつもりです(笑)。やっぱりメーカーですからものづくりを知らないと話にならないですよね。

−やはり小さいころから父親の姿を見ていずれは後を継ぐものだと思われていたわけですか。

 そうですね。私も小さいころから周囲に三代目、三代目と言われていましたので木工をやることに違和感はありませんでしたし、事業承継もさせてもらったわけですが、承継ということについては、私の次の世代、さらに次の世代、ずっと先の世代まで引き継いでいきたいという思いがあります

−具体的にはどのようなことなのでしょうか。

つながれて無駄なく効率的なライン

 木工、木製品というのは、大切な森林資源を使いますが、同時に正しく使えば国内で循環可能な、数少ない資源の一つだととらえています。
 近年、林業再生の話を耳にするようになりましたが、われわれの手で国内で循環可能な森の恵みを利用し、暮らしを豊かにする商品を開発するとともに、船大工、宮大工から続く日本古来からの産業、生産技術でもあるという認識をもっております。そうしたものはきちんと未来に引き継いでいきたいです。

−循環可能な資源ということですが、そうすると国産の木材を使用されているということですね。

 少しそのあたりの話をしますと、木材は資源の有効利用や環境負荷低減などを目的に、無垢板から合板へと移行し更に、工業化された繊維板MDFやパーティクルボード(PB)などをうまく使込む技術を深化させてきました。合板というのは、木材を桂剥きみたいにして重ね合わせているのにわけで、資源を大切につかうという意味では有効な進化ですが、より森への負荷を考えると、その合板工場で出る木くずや間伐材を繊維にして押し固めたMDF、更には建築廃材までをもチップ状にして押し固めた木材原料に変えて、更にムダなくつかっていくということも、我々の技術でできる環境配慮のひとつです。
 そのうえでさらに、日本のものづくりとして国産化にもこだわりたいのです。 日本にいて、木材資源は日本で循環可能であるわけですから、単に安いからといって海外から調達するのではなく、日本の産業として使いこむ、大切に使うことで、日本の林業の再生、活性化にもうひと役かえないかということで取り組んでいるということですね。

−しかし国産のものだとコストはどうしても高くつきますね。

 そのとおりです。それでも環境、循環資源、お客様の未来、技術承継として考え、持続可能な社会を目指しメーカーとして取り組む必要、責任があるということです。そうすることが、「私たちは、日本のモノづくりに誇りを持ち続けていきます。」といえることだと思っています。
 確かに同業他社とか、家具量販店さんで海外に生産拠点をシフトして生産コストを下げるという動きは結構ありますが、これは単に人件費を下げるということになっているのではないでしょうか?。
 われわれは雇用もしかり、日本の循環型資源もしかり、それらをトータルして日本の技術として残し、次世代に承継していきたいという思いがありますから、安い材料や部材を海外から買ってコストを下げるんじゃなくて、ものづくりの考え方、いろいろな工夫でコストを下げられないかと考えています。
 そのために今のところまだ少しコストは高いですけれども、材料も国産にしています。将来にわたって事業承継を続けていくこと「未来のために」と考えると国産化というのは非常に大事なことで、逆にこういう取り組みをしていかないと日本の林業と、その使い道そのものがなくなってしまうと考えています。

IT化で生産技術が一新

−なるほどいろいろな工夫と言うことでIT化への取り組みなどが出てくるわけですね。

 情報的な技術、それにもちろん生産的な技術ですね。ここにはさきほどの「続ける」というキーワード、価値に加えてもう一つ「つなぐ」という大きなキーワードがでてきます。この「つなぐ」というのもいろいろがありまして、まずラインでいうと、設備同士をつないで一つのラインにするということ。これは第2世代、先代の時のことなんですが、会社が厳しくなって、県の制度融資を受けようとしたことがあったそうです。その時に来られたコンサルの方がうちの分析をして、中期計画を作ったわけですが、「仁川木工所さんは何屋なんですか。木工所と言っていますけれど、実態は運搬業ですね」と言われたらしいんです。これは工程と工程との間にものの運搬作業がたくさんある、要は仕掛品を置いてそれを運搬して機械にセットする。それからまた仕掛品を置く、運搬する。これを繰り返していましたので、「作業のチャージより、運搬している工数が多い」とこう言われたわけです。それが前社長に一番印象に残ったというか、かなりカチンときたみたいで(笑)、これを機に何が何でもということで全ての機械のラインをつなぐようになったそうです。

−それがさらに大きく変わるわけですね。いつ頃のことですか。

 私が生産管理の仕事を始めた97年頃ですね。当時まだうちはオフコン世代でして、それを使って在庫表を出したりするコマンドが、ちょっと笑えるけど覚えたくないような、無理やり日本語をアルファベットにした綴りで、とても使いづらく嫌だったことから、世間では、ぼちぼちオフコンからクライアントサーバと言われるオープンシステムが主流の考え方に移るタイミングでしたし、見直しの稟議を出したのです。

 その頃社内では、販売系はオフコンを使ったパッケージの販売管理システムと、生産系は単独のパソコンがいくつかあって、表計算を利用して所要量計算をするレベルでした。
 表計算で所要量展開したものを生産指示書とし、販売管理ソフトの在庫に入れて受注入力と出荷管理をする、その在庫を見て生産計画をたてて所要量計算というやりかたです。ですからコンピュータのやることは受注や出荷伝票のワープロに、計算機レベルだと思われていたみたいです(笑)。それが、月末になると数が合わないわけですから、足し算引き算もままならない高い計算機に、なんでそんな高い金をかけるのかという風当たりがすごくあったんです。間違えるのは、コンピュータではなくて出したり、入れたりするインターフェイスでの作業を人間が手でやっているからなんですがね(笑)。
 そこでイロイロやりあったのもあって、コンピュータの在庫が合わないから在庫が合うシステムをつくるぐらいでは、うちの会社の逆風に説明してもなかなか理解を得られない。だからおもいきって、受注〜生産〜出荷の情報を一つにして、完全受注生産すると在庫は無くなり、在庫が合わないなんて問題もなくなる。その為にはシステムにも投資をして、各生産設備に生産指示をつなぎセット替え工数を下げ、完全受注生産ができるようにする。これからは受注したお客様のお名前を付けてものを作って、出すときもそのお名前で出荷すれば、数が合わないということから解放されると社内でプレゼンしたのが始まりです。

バーコードを受注した受注生産態勢の確立

−具体的にはどうされたんですか

 生産指示書を見て、NCプログラムやサイズなどを機械に手入力していたかわりに、指示データをバーコード化したラベルを部材に貼って、そのバーコードを使って生産指示データを各加工機に渡します。情報を、確実に必要なタイミングでデータにして渡していくと、手でセット換えするのではなくて、機械的にセット換えできるわけです。
 実は、最初導入した時には1個、1個をネットワークで制御しょうとしたんです。LANでつないで加工機で一枚のワークが終わったら、次のワークが加工機に移ってきて情報を渡すというようなやり方でやっていたんですけれど、お恥ずかしい話ですが、木工の生産レベルではおはずかしながら不良も発生するんですよ。そうするとワークを一枚抜くわけですが、その作業が非常に面倒なんです。データ管理が非常に難しいんですね。
 それが二次元バーコードが出てきて、それまでは一次元ではコード数でいうとせいぜい15ケタくらいしか制御できなかったものが、飛躍的に増えたんです。この二次元バーコードでかなり生産システムも進化し、完全邸別受注生産から、更に完全邸別の受注サイズ生産にシフトしていったわけです。 ただこれはまだ終わりではなくて、それをさらに新しいサービスへどうつなげていくかを模索していると言ったところです。

−バーコードに入っているのはサイズ、色、それから当然顧客情報ですね。具体的にはどのくらい入っているのですか。

 そうですね。まず「邸」というお客様の情報と加工コード、それに加工のサイズや色なんかの情報ですね。基本的には「邸」の情報はIDでしかないですから、詳しい内訳情報はサーバーに行かないと見られない。加工コードに関してはその加工コードを見れば各加工機で物の形状やモジュールが解り、加工機側のプログラムでサイズや色などの付加情報とセットして再計算します。

−生産ラインがそういう風に進化すると目に見える効果としては効率化や在庫の問題ということになるのでしょうか。

 その通りです。まさに生産性が一番のキーワードですね。それから品質です。加工機が読んで自動的にセット換えするという点が大きい。ロットで作っていた時には品質検査として、抜き取りで組み立て検査をしていたんですね。
 それが1点ずつ作るということは、その都度サイズも違えば色も違うわけですから、抜き取り検査は意味がない。しかし、加工機がバーコードの中のデータを読んで自動的にセット換えしますから、同時に入力ミスによる不良も無くなるし、それを梱包から出荷まで一元化しているわけですから、ピッキングや出荷ミスなど飛躍的に品質不良も減ってきているということですね。

エンドユーザーに向けての働きかけを強めていく

−個別対応が出来るといろいろなことが出来るようになりますね。

 これもいろいろと練っている段階なんですけれど、究極にはエンドユーザーにもできるだけこの価値を感じて頂きたいと考えています。市場のボリュームというか量の括りを軸とすると、まず(仮に左側から)住宅設備メーカーさんがあって、次にハウスメーカーさん、それから工務店さん、工事店さんがあって、それからデザインをてがける設計事務所さんがあって、最後にエンドユーザーさんがある。一番左の住宅設備メーカーさんが一回で売れるロットが一番大きく、品種を絞ることもできる。それが右側のエンドユーザーさんに近づくほど一件や一邸あたりの売り上げは小さく、対応サイズや色も様々になっていきます。それがコストとして価格に転嫁せざるを得ない、所謂別注や特注と言われるものと同じになるわけです。やはり、欲しいときに欲しいサイズでオーダーして、量の括り軸右側一品対応でも左のボリュームゾーンと加工費レベルで、我々の拘りをお届けできればと考えています

−いちばん右の方に行くと以前のロット生産のやり方では対応できない。個別受注生産ということになるわけで、そのためのシステム作りということになるわけですね。確かに今は、業界さんに限らずどんどん右側、エンドユーザーに向かう傾向がありますね。

 はい。それに我々としては、OEM生産メーカーという形で得意先様に頼ってしまっていることは、逆に得意先様からみればリスクをなんでしょうし… ちなみに海外で作るというのは、このロットの大きいレベルですね。このレベルは誰もが出来るようになってきて、海外でもできる。さらに言えば海外の方が安くできるようになってきているわけです。それに対してうちは1個、1個受注生産でやるというレベル、さらにいうと売り方もそれに合わせて1個1個というレベルを目指していくということです。

顧客とのコミュニケーションで売り方のシステム化を図る

−生産に加え、売り方も一つ一つということですね。

 2つの軸の対応があるわけですね。ひとつはものづくりでの受注生産としての対応、それからもう一つは売り方でのお客様とのコミュニケーション、カスタマイズといった対応、この2つの軸の右上を目指さないとダメだと思っています。
 売り方だけで右の方に進んでいるのは、いわゆる「物件特注扱いの家具屋」さんですね。売り方や顧客対応のノウハウだけで右に行っていて工場は特注生産というやり方では、とどうしても価格が高くなる。
 それに対して我々が目指しているのは、まずものづくりのレベルでロット生産から受注生産が出来るようにして、次に情報化技術で生産性を追求したのと同じように、売り方をシステム化していこうというものです。これだと受注サイズ生産なのに価格は特注の価格ではない。量産コストでできるようになってきたわけです。

−いいもの、お客さんが欲しがるものを安く提供するという考え方ですね。

 そうですね。確かにいいもののカテゴリーが非常に難しいのですが、例えばお客さんが欲しいサイズというのは、家によって当然違いますし、暮らし方によっても違うんですよね。例えば単純に持っている服の量で収納のサイズが変わってくるわけです。そうした様々な要求に合わせられる、カスタマスイズ出来るという価値をこれからわれわれとしては販売戦略の中に取り込んでいきたいということです。

商品とサービスの「進化、深化」

−システムとは別に、当然商品そのものの力も必要ですよね。こちらも力を入れてこられたわけですね

進化・深化図

 会者案内の中の「進化、深化」というページなんですけれど(進化・深化図参照)、色の濃い○が歴史も含めて深みのある深化なんです。それに対し色の薄い○は進化、新しく派生したものですね。そうした様々な○をいろいろとつないだものがうちの部材であったり、製品であったりということを表しています。
 特許に関してもいくつかありまして、例えば「含水調整」、これはうちの特許技術なんですけれど、うちで作る扉は一枚のように見えて、実はフラッシュという表面材と裏面材、その間にフレームが入ってサンドイッチ状になっていて一枚の板のように見せているんです。
 この表の板と裏の板がバランスを崩すと反るわけです。反るのはある意味木製品の宿命で、前社長がよく冗談交じりで、「板」と読むんだと、何か金八先生みたいな話があるんですけれど(笑)。そこで反らせないための技術として表面材、裏面材の含水調整をするわけです。この含水調整ですが、技術的には電子レンジみたいなものを使いまして、表面と裏面に水分統合して抱き合わせて「チン」するわけです。そうすると表面と裏面の平均含水が保てて反らないんです。こういう技術なんですね。簡単に言うと板は表と裏の水分バランスが崩れるから反るんです。そこでその水分のバランスをとるということですね。
 私が入社したころには、スプレーガンでもってずっと塗っていって、抱き合わせて一晩寝かしてたわけですよ。それを今は高周波の技術を使って電子レンジでチンする、この間、わずかに20秒です。そういう進化を続けてきたということですね。

−まさに技術の進化、深化ですね

クロスコア、ジョイントコアもうちの自慢の技術です。これはもともと端材、落材という概念がありまして、木も工業化規格の定板ですから、いるところを使って最後に残ったものをそういうんですね。
 最初にわれわれは、いるところだけ取って、残ったところを細かくスリットして、格子に組んでハニカムコアにして、これを先ほどでたフレームの中に入れて緩衝材にして使ったりしたわけです。それから更に進めて芯材というフレームにする材があるんですけれど、これはいる分だけ取るんではなくて、最初から必要なサイズでカットして、それをつなぎあわせていくんです。そうすると端材そのものが出ない。
 私が入社した頃には、端材がもったいないから、つないで使いなさい、どこかに使いこみなさいということで、要は端材を使い込む技術だったわけですね。それがいまは端材を出さない技術にかわってきているわけです。

クロスコア

 さきほど受注生産という話をしましたが、これはある意味お客様からはメリットを感じにくいという可能性があるんです。受注生産にはサイズの価値というものがあるわけですが、例えば同じサイズの海外製品とわれわれが受注生産した製品では、見た目にはなんの違いもないんですよね。収納としての使い方も変わらなければ、「うちは受注生産していますよ」と言っても、お客様はあまり価値を感じない。
 しかしそこで端材が使いこまれているとわかると、「ちょっと待ってくれ。俺の製品の中に端材、落材を入れているのか」という感覚的な部分で嫌がる方もでてくる。われわれの場合は端材を出しませんから、お客さまに不快な思いをさせない。つまり端材をださないことで価値を作っているんです。 別の言い方をすれば、われわれにとっては端材、落材が出るということはコストなんです。原価計算では、一枚の板のいるところも、いらないところも含めての原価ですからね。

☆★☆★ ☆★☆★ 後編につづく ☆★☆★ ☆★☆★