Vol.47 2011.03.18
発行/編集 全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/

「小さな店の壮大な気宇が、今輝きを放つ」/後編

有限会社ゲンベイ商店 五代目 中島 広行

 海辺の町の小さな店をビーチサンダル専門店へと鮮やかに転換させた5代目経営者は、行動力と人と人との結びつきで見果てぬ限界に挑み続ける。人情と心意気、そして遊び心あふれるプライスレスメッセージ。いよいよ後編です。

(・・・前編では、脱サラして継いだ店をビーチサンダル専門店にするまでの経緯とご苦労、そしてやってみたことで少しずつ周囲が変わっていたこと、さらにはこだわりをもって国内を中心に生産していること、付加価値を高めるために100社以上の企業とコラボを行っていることについてもお聞きしました。
 後半ではコラボからマッチング、人と人のつながりを大事にすることで広がる可能性や小さな会社で出来ることを追い続けるという夢の話、さらには経営者としての独特の視点についてもお聞きします。どうぞ最後までお楽しみください。http://mag.shokokai.or.jp/htmlmail/p_msg/201102.htm

他の企業とのコラボで、付加価値を高める(再掲)

−コラボでほかに工夫されていることはありますか。

 他には百貨店の催事ですね。今は百貨店の催事も結構出るようになっていまして、そごうさんだと大宮、池袋、渋谷、横浜とお付き合いがあるんですけれど、一部の定番の商品を除いて、それぞれ違う商品を置いているんです。
 大宮にしかないもの、渋谷にしかないものがあるんですね。これは、大々的には言っていないので、知らない方も多いと思いますが、大宮で買ったけれど、もしかしたら横浜には違うものがあるかもしれないとお客さんが思ってくれたら、こちらとしては面白いなと思うわけです。やっぱり同じグループでもお店によって立地も違いますし、バイヤーさんとの人づきあいもあるから、この人のために何か違うものを置こうとか考えるわけです。しかしネタ自体はうちの方から圧倒的に出していますね(笑)。

−コラボの相手のために本当に一生懸命やられているという印象があるんですが、そもそもコラボするかしないかの見極めはどのあたりでされているんですか。

 まず商売は関係ないですね。やっぱり嫌な人とは一緒にやりたくないということが本音です。逆にいえば会ってみてこの人のために頑張れるかなというのがポイントです。それには、だいたい1回会えば十分ですよね(笑)。
 最初に駄目だと思ったら絶対だめですね。やっていいことはないです。いやいややってもその年限りで終わってしまうんです。やっぱり人の輪でだんだん回るようになってくると、いい方は悪いかもしれませんが、自分の体のなかに異物が入ってくることを拒むような感じになる。いい感じで回っているのは、紹介で上手くいっている部分もあるわけで、嫌な人間、合わない人間を輪の中に入れる余裕はないわけです。
 取引先とはやはり持ちつ持たれつという関係、貸し借りみたいな関係(笑)ですね。「こないだ頑張ったから、今回ここで返してよ」みたいにお願いして、工場も忙しい時に土曜日に出てくれたりするんです。今は世の中、結構ぎすぎすしていて、すぐに結果をとか、自分だけみたいな感じになりがちなんですけれども、これまでうちのやってきたことを振り返ってみると決してそうではないと思うんですよね。
 もともとぼくは商売も知らなかったし、ゼロからのスタートでしたが、それでも本当に人間関係だけでここまで来ましたからね。

これまでにコラボしたビーチサンダルの数々

−コラボの究極の目標というのは、どの辺りにあるんですか。

 これは本当に、売上や利益ではないですね。相手にとってはうちの名前を利用して、ビーチサンダルを売るというメリットがありますが、うちは宣伝と割り切っています。損しなければいい。まあ商売というのは儲かることもあれば損することもあるわけで、コラボの場合はトータルで損をしなければいいという感覚ですね。
 やっぱり商売というのは5年先、10年先を見据えて腰を据えてやらなければいけない、少しずつ変わって行って5年、10年で結果を出せばいいというスタンスでやっていますから、その為には自分だけでなく相手が喜んでくれるということが大事だと思います。

−やはり相当ビーチンダルにほれ込み、打ち込んできたという結果が出てきているということですよね。

 やっぱりビーチサンダルが頭から離れるということはないですよね。それこそ四六時中、考えています。逆にいえばここまでやるから一番でいられるという思いはありますね。こういう商売ですから、2番なんてありえないわけです。
 それこそ髪の毛1本分でいいから毎年伸びようと、少しずつ積み重ねて行こうという気持ちがあれはやっぱり違いますよね。
 仮に1日1分でもビーチサンダルについて本当に考えている時間があれば1月で30分、1年で6時間、それがさらに10年間積み重なれば、すごい時間になりますよね。1日1分でもそれだけの大きい差になるんですよ。しかも時間がたてばたつほど差が開いていきますからね。

新しい試み、マッチングが可能性を広げる

−新しい試みもいろいろやられていますね。母校の関東学院大学で、大学生を対象にビーチサンダルのデザインコンテストを開催されているとのことですが。

 去年から始めて今年で2回目になります。もともとは、大学の後輩が職員でいまして、会った時に「最近学生の就職率が良くない」と話になったんです。だったらうちのビーチサンダルのデザインを、やる気がある子を対象にやらせてみようとかと、ビーチサンダルをデザインをするという経験や実績が、就職活動に役立ったり今後の人生に役立てばいいですからね。
 大学も乗り気で、うちと取引のある横浜そごうさんも企画に乗ってくれることになって、今年については、横浜ウォーカー、横浜マリノス、八景島シーパラダイス、江ノ電、FM横浜、神奈川新聞に声をかけて、それぞれの企業をコンテストに参加した学生がデザインして、デザインした作品を横浜そごうでかざって、人気投票をして上位に入ったものを実際に商品化しました。
 準備段階の企業ごとのやりとりなど、手間がかかって儲かりませんが、それでもやるのは、うちにとっては宣伝という部分もありますが、やっぱり一番は学生のためにという思いですよね。併せてうちではインターンシップも受け入れました。夏に1日だけ店を手伝ってもらって、そのあとビーチサンダルをデザインしてもらい、それを商品化して、東急ハンズで売ってもらいました。この時は、東急ハンズに大分貸しがありましたので(笑)、本部のバイヤーに「話題にもなるし、売ってくれ」とお願いしました。

コンテストで展示された作品 インターンシップで
デザインした大学生

−面白いですね。他の大学の学生さんもやりたがるんじゃないですか。

 はい、同じような話が、福岡でも、大阪でも出てきています。福岡では博多の東急ハンズでやろうと地元の福岡大学と話をしています。それから大阪の梅田の方は広く関西の大学の学生さんに広く参加してもらう形で梅田の東急ハンズでやろうかと計画しています。梅田というのは百貨店戦争が続いていて、それぞれの百貨店が「うちだけの企画、販促のネタがないか」と血眼になっている。そうした中でうちは東急ハンズとやるわけですが、売り場のバイヤーさんや企画担当の方が、「このイベントをやってよかった、他では出来なかった」とそう言ってくれるその一言のために目いっぱい頑張っているんですね。
 もちろんうちにとっても宣伝になるし、コラボする企業さんにとっては他社との差別化になるわけです。

−その一言は励みになりますね。しかしいろいろ広がっているんですね。

 はい。以前横浜ウォーカーの人から紹介してもらって、取引のあった関西ウォーカーに、関西でデザインコンテストをやりたいと言ったら「げんべいさんだったら」と二つ返事でした。それからラグビーつながりで、東大阪市に2019年ワールドカップの誘致室があるんですが、僕がこういう時こそラグビーに恩返しがしたいなと思っていたらそこも協力してくれることになりましたし、野球のオリックスバファローズにも基本的には了承してもらっています。ほかにも小山薫堂さんつながりで難波に「たこやきらぼ」というのがあるのですが、そこも参加してくれることになって、そこのデザインについては小山薫堂さんが自ら選ぶことになりました。こういうことでも学生のモチベーションは上がると思います。いろいろとつながっていくとそこから何か面白いものが出てくるかもしれませんね。

−マッチングによって可能性が広がりますね。面白いですよね。

 最近は沖縄や福岡でお付き合いのある企業から、うちの商売とは直接関係ない、例えば食品関係でこちらのスーパーなどを紹介してほしいなんてお願いされることがあります。こういうのも面白いですよね(笑)。
 実際、結構企業をまわってみると、こことここをくっつけたらいいんじゃないかとか、逆に百貨店がこういうことを求めているのに、百貨店の方にはルートがなかったり、バイヤーさんの管轄外だったりすることも多いんです。そういったことがだんだんわかってくるとつなげていくのも面白い。

何にこだわるのか:単品に絞り、シンプルに訴える

−海外はいかがですか。

 今、ロサンゼルスでは販売は現地の会社がやってくれていて、うちは商品を卸すだけという形をとっています。これは上海も同じですね。
 最近では、アパレルのユナイテッドアローズさんからイタリアのインコテックスというブランドを紹介されました。インコテックスとユナイテッドアローズのコラボのビーチサンダルを「げんべい」に作って欲しい、インコテックスのオーナーが「げんべい」に興味を持っていて、イタリアでも売りたいといっていうことでした。今、インコテックスの日本法人と話が進んでいて、もしかするとイタリアで販売することになるかもしれません。
 この時には「げんべいさんが思っているより、海外では知られていますよ」と、言われましたが、今は、何か一つのことに特化しているような情報はネットを通じて簡単に世界に広まっていくんですね。

ロサンゼルス販売店のホームページ

−先ほども少し出ましたが海外ということでは中国をはじめ価格の安い製品が多いと思いますが、それに対抗してこだわり、ブランドがあるわけですね。

 ですから本当に商売ってどこで勝負するかですよね。意外と消費者はきちんと評価してるんじゃないですか。例えばどんなに安いといってもそんなに遠くまで行くわけじゃないですよね。例をあげれば、ここからいくら安いといっても茨城のジョイフル本田にはわざわざいかないですよね。やっぱり商圏というのはそんなに広くないんですね。でもこだわっていたり、ブランドだったりするとわざわざ遠くまで行きますよね。
 そうすると家族経営の店というのは、よほど地域の身の回りで便利だということを売りにするか、後は遠くから来てもらうにはためにこだわり、ブランドに舵をきるかしかないわけです。でもビーサンですらブランドになるわけです。昔は葉山で作っていないからブランドになるわけない、売れるわけがないとか、いろいろわれましたけど(笑)。それこそ固定概念なんですよね。
 やっぱり何にこだわるのかというのが一番シンプルに訴えられるものだと思うんですよ。しかも、何が売りなのかという時には単品に絞るということですよね。単品だとリスクがあるといいますが、うちの場合、店売り以外に、通販や、コラボをしてリスクの分散をはかっているわけです。昔は冷夏だとモロに売り上げが落ちて、これでは年越せないみたいな感じでしたけど(笑)。

−以前は店売りだけでリスクの分散が出来ていなかったんですね。

 そうですね。結局、百貨店やスーパーなどのように商品がたくさんあるから、今日はそのうちのどれかが売れればいいという考え方と単品だけど売るチャンネルを変えてリスクの分散を図るというやり方があるわけですね。

−各商工会地域でブランド作りが盛んに行われていますが、上手くいかないケースも多いようです。ご意見をいただけますか。

 うまくいかないところは本当に海外に行くという前提で動いているのかというのも疑問ですね。海外に物を売りたいと時に僕は上から考えるんです。
 どういうことかというと、海外の人が「げんべい」といったらすぐにイコールビーチサンダルだと思ってくれるようになるかにはどうすればいいかとまず考えるんです。それからそれを少しずつ下げていくと、今何が足りないのか、そのためには何をやればいいのかということが見えてくる。先にブランド作りありきで、最終的にどうしたいという考えがないから、どうしていいのかわからなくなってうまくいかないのではないかと思います。
 海外に売りたいというのはわかりますけれど、最終的にどうしたくて、具体的に海外の人の手に取ってもらうにはどうしていけばいいのかなというのが抜けているんですね。
 下から行くと何をやっていいのか分からなくなるんですね。上から落としていった方がはるかにやりやすいと思いますね。

小さな会社だからできること

−会社を大きくすると出来ることも増えると思うのですが、そういったお考えはありますか。

 大きくしようという気はさらさらないですね。大きくすることによって動きが取れなくなりますからあまり魅力的ではないですね。自分で思うものを形にするということでは小さい方が圧倒的にいい。企業としては雇用の拡大という形での社会貢献はできないんですが、違った形で社会貢献をしていますので、それでいいのかなと思います。

−社会貢献として何か具体的にやられていることがありますか。

 今年、伊勢丹新宿店と組んでタイのバーンロムサイというHIVに母子感染した孤児施設を応援するイベントを行いました。これは施設の子供たちの描いた絵のビーチサンダルを販売して、その売上の一部を、この施設に寄付するというもので、30人の子供たちが、一枚一枚絵を描いてくれました。

バーンロムサイとのコラボ

−葉山に対する貢献としては何かありますか。

 残念ながら直接的には何もしていないですね。例えば朝市だと基本食べ物ですからね。ですからうちが出来る貢献というのはいかに葉山にお客さんが来てくれるかということになると思います。うちがトンガれば、トンガるほど、お客さんが来てくれて、他の店も回ってくれればいいですね。
 やっぱりたくさんの人に葉山に来てほしい。もっと知ってほしいですからね。

家族経営の店の可能性に挑み続ける

−ずばり五代目にとって、これからやりたいこと、夢というとどのようなものがあるのですか。

 ビーチサンダルというありきたりの商品でも、海外で商売がな成り立つんだというモデルケースになれればと思います。どうしても地域の特産品だとか、伝統工芸品だとか、日本だけのものじゃないと海外に通用しないという風潮がありますけれど、そうじゃなくて「げんべい」でもできるんだから、うちでもできるんじゃないかという流れになればいいですね。無理に大きくすることもないし、食べていければいい、家族経営でどこまでできるのか、うちがモデルケースみたいになって、皆さんが追いかけてくれたら面白いし、光栄ですし、お世話になっている商工会とかに恩返しできますね。
 結局、究極の僕の生きがい、仕事の頑張りどころというのは、家族でやっているお店でどこまでできるのか、挑み続けるということなんです。それが面白いんです。実際いろいろと広がってくると、まだ自分が気づいいなかつたことがたくさんあるのに気付かされます。まだまだ可能性があるんですね。おそらくここで終わりというのもないし、それがまたモチベーションになっていますね。

−ここて少し経営について、あるいはご商売を進める中で普段感じていることがあればご紹介ください。

 僕にとって商いは、飽きないですね。自分が飽きたらおしまいなのかなというのはありますね。常にやっていないと気が済まないですね(笑)。そのためにいろいろ考えたり、何かやったりとかするわけです。しかし外からどう見えるのか気になる時もありますね。実は、自分のところは、子供が男の子で小学校6年生なんですけれど、「継いでくれ」とはすごく言いたくないんですよ。
 というのは、「継ぎたくない」ということであれば息子から見て魅力がないということで、それは親の仕事を否定しているということになりますよね。だったら「継がせて下さい」と言わせるように頑張ろうと。それがまた子供の成長とともにひとつのモチベーションになっていますね。
 ただ、僕は立場的に言うと、外から店に入ってきたので、野球というと中継ぎでという感じなんですね。この商売には何のこだわりもないですし、場合によってはいつ辞めてもいい。そしてまた新しいことを ゼロから始めるのも、それはそれでおもしろいんじゃないかと思いますね。

世の中のやり方自体が変わりつつある

−では経営者として気をつけられていることはありますか。

 常に即断即決です。チャンスだと思ったらすべて自分で判断しすぐに答えないと、そのチャンスは違うところに行ってしまうこともあるわけですね。阪神タイガースなどのプロ野球球団はだいたい1業種1社ですから、別のところがコラボしてしまったら、「げんべいさん、ちょっと遅かったよ」ということにもなってしまう。
 長く考えてもいいことはないですよね。いろいろな思い、邪念が入る、要は無駄が多いということですね。その場でいいと思ったことは後から振り返っても大体いいです。
 それから経営者的な立場から考えて損してもいいという時があるということですね。例えばコラボで条件が厳しくても、「これはやるべきだ」と思ったらとりあえずやって、赤字になっても他のところとトータルで採算を考えるわけです。例えば企業さんによっては条件が厳しくても、先ほどの阪神タイガースの場合などは、採算は厳しいのですがコラボすること自体がPRになる。広告宣伝費と考えれば安いということもあるわけです。

−最近の景気についてはどう思われますか。あまり良くないようですが。

 不景気ではなくて、いままでやってきたことが頭打ちになっている。そうしたことを1回忘れなければいけない時期に来ているような気がするんですね。
 例えば長い間、百貨店が小売業の中でトップだったけど、その百貨店のやり方が頭打ちになった途端に、スーパーが出てきて、そのスーパーのやり方も頭打ちになった。それからコンビニが出てきて、ドラックストア、ホームセンターが出てたわけですが、みんなやがて頭打ちになった。ある程度の周期でライフサイクルと同じようにどんどん変わっていくわけですよね。そうすると、景気が悪いのではなくて、頭打ち、今までやっていた常識が通用しなくなってきているのではないかと思えます。ですからちょっと考え方を変えるとそうでもないんですよね。
 例えばリーマンショックで車が売れなくなったといっても、車は生活に絶対必要なもので、ビーサンはそんなに必要なものではない。必要でもないビーサンが売れているんだから絶対必要な車が売れないわけはないですよね(笑)。
 百貨店も同じです、常に新しいものを探していると言いながら結局ありきたりのものになってしまっていますよね。例えば北海道物産展、どこでも同じで、北海道の新しい特産品を見つけてきたとか、新しい駅弁を開発したとか、そこに何か違うもの、もうひと手間付け加えれば、どこにもない北海道物産展が出来たりすると思うんですよね。

大事なのは踏み出す1歩の勇気

−コンパス通信は若い読者も多いのですが、読者に対してエール、メッセージがあればお願いします。

 やっぱり何かをやることが大事ですよね。学問ではないんで、机上の理屈や空想はだめなんです。何でもいいからやる。やることによって良い悪いが初めてわかってくるんですね。やる前から、頭の中で判断してはだめです。例えばビーチサンダルを1年中売るというのは、頭の中では絶対にノーだったんですよ。ところがやることによって良い悪いの結果が出てきますので、それに対して修正を加えていく。その積み重ねで前に進むことが出来るわけです。
 逆に頭の中だけで考えた立派なことをいう人は多いですけれど(笑い)、大事なのは最初の1歩を踏み出すことが出来るかできないかですね。
 踏み出すと言ってもうちなんかはお金がありませんでしたから(笑)、お金をかけたわけじゃないんですよ。発想を変えただけなんです。ビーチサンダルを一年中売りますと言いきることは確かに重い1歩だったかもしれないけれど、そのおかげで、気づいたこと、わかったこともたくさんあるわけです。本当に踏み出す1歩の勇気ですね。

−ちなみにやっていないのはどこの球団ですか。

 ジャイアンツです(笑)。ジャイアンツはメインスポンサーがアディダスさんで、独自にビーチサンダルを作ってるんですね。ですからちょっとNGで。
 プロ野球球団で最初に作ったのが横浜ベイスターズで、そうしたらベイスターズの人が阪神タイガースを紹介してくれて、そうしたら次に阪神タイガースの人が勝手に(笑)、楽天とか、中日とか、オリックスに「うち、ゲンベイでビーサン作ったんですけれど、おたくも作りませんか」みたいに営業して紹介してくれたんです。本当に人のつながりですね。ありがたいです。

−差し支えないところで結構ですのでご趣味を教えてください。

 特に趣味はないです。というのは仕事が、ある意味遊びであったりするわけで、例えば次会う人とどうなるのか、ビーチサンダルを通じて何が出来るか考えると、わくわくしますよね。かわりになるような趣味というのはなかなかないですね。それと休みも基本的にはないんです。店は月曜日が休みなんですが、打ち合わせをしたりしますからね。
 仕事が単にお金を稼ぐだけの手段ではなくて、趣味でもあって、本当に面白いんです。実際納期に追われる以外はほとんど苦にもなりませんし(笑)、納期に追われる夏場だけはひどいプレッシャーで思い切り痩せますけれど。

商工会もリスクをとり、トンガる企業を応援してほしい

−50周年を迎え商工会は原点に返り会員サービスの充実をはかっています。ご意見、ご要望等があればお願いします。

 商工会組織はやっぱり凄い情報量を持っていますので、それが津々浦々まで行きわたれば、すごく強い組織だと思うんですね。  新しい成功事例ですね。例えばトンガっているものをいかに伸ばせるか、そういった過去に前例のない事例を集め活用することですね。
 前例がなくて悩んでいる企業に、確か「げんべい」はこんなことをしていたから、扱っているものは違うけれど同じように行けるはずだと商工会がアドバイス、ひと押ししてあげるということですね。コンサルタントの方などは、トンガっているものほど押しづらいんです。どっちに転ぶか結果が分からない、自信がないですからね。
 でも商工会の場合は全国の似たような事例をもっているから、それを基に上手く使って押してあげられる。これは商工会じゃないと出来ないことだと思いますよ。
 今まではどちらかといえばリスクを負わないようなことを商工会さんはやられてきたことが多かったと思いますが、これから必要であればリスクを負うようなトンガったもの,アウトローだけれどもなんかいいものを持っているなというところを応援もらえればいいですね。これまで通りのやり方、安全に行こうというのが強すぎると、すでに世の中のスピードについていけなくなってきていますよね。

−お忙しい中、長時間にわたりありがとうございました。



(平成 23年 1月 12日インタビュー収録:文責「コンパス通信」編集部)