Vol.64 2012.08.10
発行/編集 全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/


石澤全国連会長に再任の抱負と意気込みを聞く


 

 

◆全国連会長として2期目がスタートしました。1期目を振り返って、どのように感じていますか。
 この3年間を振り返って一番大きな出来事は、東日本大震災でした。被災地のほとんどが商工会地域で、多くの仲間が犠牲になりました。震災直後に現地を訪れ、悲惨な状況を目の当たりにして、なんとかしなければという思いから全国に支援を呼びかけたところ、10億円もの義援金が届けられ、商工会の組織の大きさ、絆の深さを痛感しました。
 経済環境の悪化も深刻で、デフレ、円高、欧州の金融危機に由来する国内外の金融不安、福島第一原発事故による電力問題などもあり、かつてない厳しい経済情勢に直面した3年間でもありました。
 感慨深いものとなったのは、平成22年度の商工会法施行50周年記念式典です。天皇・皇后両陛下をお招きして、大会が成功裏に終了したことを嬉しく思うと同時に、全国の会長や役職員のみなさんと「巡回訪問の徹底」を誓い合うことができ、巡回訪問運動の活性化につながりました。

◆2期目の抱負をお聞かせください。
 1期目では、商工会の原点である「巡回訪問の徹底」を図るために「商工会は行きます 聞きます 提案します」を掲げ、会員支援に取り組んできました。次の3年間は、仕上げとして、特に“提案します”に重点を置いた取り組みを強化していく考えです。
 会員の多様な経営支援ニーズに応えるために、さまざまな手段を講じる中で、商談会や物産展の開催、海外展開支援などによる「販路開拓」を一層充実させるとともに、インターネットを活用した事務作業の効率化を図る「新ネットde記帳」も積極的に推進し、経営指導員や職員が“提案できる”環境を整えていきたいと思います。
 加えて、昨年度に創設した経営指導員の能力向上のための「経営支援マネージャー制度」が会員に広く知れ渡り、活用していただけるよう普及に向けて取り組んでいきます。
 地域貢献活動も商工会の重要な役割です。全国連では、コミュニティビジネスやソーシャルビジネスに関する検討委員会を設け、研究を進めていきたいと考えています。
 このほか、小規模企業基本法の制定や、金融円滑化法の期限切れへの対策、中小企業経営力強化支援法の制定の影響と金融機関との連携強化、小規模事業者が多く加入する「協会けんぽ」の健康保険料負担増額についての対策などにも、全力で取り組んでいきたいと思います。

◆東日本大震災については、現在も各地で自主的な支援活動が続けられています。全国連としては、今後の被災地支援についてどのように考えていますか。
 一番の問題は福島県の放射線被害地域です。津波や地震の被害については復旧・復興が進みつつありますが、福島県ではいつ安心して故郷に戻れるかわからない状況に置かれている人が何万人といます。風評被害も深刻です。
 全国連では、被災事業者に対する支援策の充実を国に求めていくことはもちろん、原発事故の被害者に対する賠償問題がもれなく実施されるように強く要望していきたいと思います。
 また昨年は、風評被害の払しょくと復興支援を目的に、東北の特産品などを大型トラックに載せて、全国を移動販売する企画も実施しました。今後も東北に元気を与える活動を行い、継続して被災地域の支援を実行していきたいと思います。

◆小規模企業基本法の制定に向けて取り組んでいます。どのような背景があるのでしょうか。
 日本国内421万社のうち、中小企業の割合は99・7%、420万社ですが、そのうち87%、370万社が小規模企業です。中小企業の9割近くが小規模企業にもかかわらず、中小企業基本法では、夫婦で経営している小さな店も300人以下の従業員を抱える企業も、ひとくくりに「中小企業」としています。
 しかし、日本経済を下支えしているのは国内企業の9割を占める小規模企業であり、もっと目が向けられて然るべきです。そこで、小規模企業に特化した基本法をつくることが第一だと考えました。
 各政党の関心を呼ぶことともなり、自民党では議員連盟を、民主党でも若手の先生方を中心に研究会の立ち上げを検討してくださっています。今は党ごとですが、最終的には、一つにまとまって法の制定が実現できればと思います。

◆消費税率の引き上げは大きな問題です。
 消費税は、小規模企業ほど価格転嫁が困難です。仕入れにかかる消費税を価格に上乗せできないうえに、消費者が払うべき消費税までも自腹を切って納税しているような状況です。
 消費税が10%になれば、廃業はますます増え、商工会としても会員減につながります。
 平成9年に、消費税が3%から5%に上がったときに、滞納が25%増えました。平成17年に、免税点の上限が年間売上3000万円から1000万円に引き下げられたときにも滞納が増えました。
 滞納は、商売が苦しいことの表れです。免税点を上回る事業者は、赤字でも納税しなければなりません。結果的に、全国の会員数が激減しました。平成10年度の会員減少数は前年比250%増の1万2000人に、18年度は前年比143%増の1万9000人になりました。
 過去にこれだけの影響が出ています。2段階で税率を上げれば、2段階にショックを受けることになる。地方の商店街は壊滅してしまいます。

◆6月に衆議院の社会保障・税特別委員会の公聴会で意見陳述されました。
 「増税、絶対反対」との立場を表明してきました。しかし、野田首相が「命をかけて増税する」と明言されていますから、引き上げる場合には、小規模企業の経営実態に配慮した対応策を検討していただくよう率直に申し上げました。
 具体的には、消費税の納税は消費者の義務であることを国民に周知徹底すること、価格転嫁できる仕組みを整えること、緊急大型景気対策を実行して国民の景況感を上げること、納税における事務作業の負担を増やさないことなどです。もちろん、歳出削減など身を切る努力もお願いしました。

◆最後に、商工会役職員に向けてメッセージをお願いします。
 苦しいときこそ、商工会の組織力、団結力を示すときだと思います。徹底した巡回訪問で会員のニーズを引き出し、提案型の支援につなげ、事業者の利益をもって、地域に貢献する。会員や地域の期待に応えられる商工会、頼りになる商工会を目指してほしいと思います。