Vol.10 2008.02.12
発行/編集 全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/

座談会「青年部活動をビジネスに生かす」

出席者

宮本周司 石川県商工会青年部連合会会長
(株式会社宮本酒造店代表取締役)

小園秀和 宮崎県商工会青年部連合会副会長
(ばあちゃん本舗社長)

司 会  寺田範雄 全国商工会連合会専務理事



寺田  本日は、地域の資源を生かして特産品を開発するなど独自な事業展開で活躍しているお二人に、青年部活動をご自分の事業にどのように活用しているか、幅広く語っていただこうと思います。お仕事、青年部歴などからお伺いします。
宮本 家業は株式会社宮本酒造店という一三一年を迎えた造り酒屋です。需要が落ちるなど日本酒業界は厳しいですが、従来の流通形態にとらわれず、酒販店やデパートなど情報発信力のあるところと良いお付き合いをさせていただいています。
 平成八年に合併前の旧辰口商工会青年部に入部、十九年から県青連会長を務めています。
小園 家業は有限会社霧島商事といいまして、飲料自動販売機のオペレーター業務をやっています。会社勤めをしていましたが、長男ということで、父の興した会社を継いだわけです。
 青年部歴は、平成九年に高城町商工会青年部に入部、現在は県青連の副会長です。
寺田 お二人は、地域の資源を生かした新しい事業に取り組んだわけですが、どういう経緯だったのでしょうか。そして、どのような現状にあるのか、お話しください。

地域一丸で特産焼酎をつくる

宮本  能美市の特産品に「加賀丸いも(正式名称:やまのいも)」がありまして、それを原料とした本格加賀丸いも焼酎「のみよし」をつくり、販売しています。ラベルやパッケージなども含めて、すべて能美市の業者によって実現した能美市特産焼酎です。きっかけは合併三年目を迎え、市の方から「特産品開発を行いたい。丸いもを使って焼酎をつくれないか」という提案があったことです。
 日本酒メーカーはいも焼酎はつくれませんでしたが、十八年五月に酒税法が改正され、特産品に限っては一部条件をクリアすれば可能となるなど環境が整いました。私はアドバイザーとして呼ばれ、二つのJA、能美市商工会、能美市観光物産協会、辰口温泉協会などのそれぞれの長とプロジェクトチームを結成、十九年三月に開発しようと話がまとまりました。
 八月に県として初めてのいも焼酎製造免許が付与され、九月から製造に入りました。当地は九谷焼の産地であり、九谷焼の酒器など特別商品もあわせてつくろうという二本立てで取り組みまして、十月二十八日の食彩イベントで森喜朗元首相や谷本正憲知事をお招きして披露しました。用意した二六〇〇本は、予約も多く一週間のうちに完売となりまして、現在は在庫がないという状況にあります。

 

宮本周司さん

東国原人気で肉の漬物大ヒット

小園  会社員をやっていたと申し上げましたが、調理士でした。そんな経験と青年部の部長として活動を行ううちに、独自商品をつくりたいという思いが頭を占めるようになりました。
 何かできないかと考えていて、おばあちゃんが砂ずり(鶏の砂肝)の味噌漬けをつくっていたのを思い出したのです。昔からあるものですが、今では知っている人は三割ほどと少なくなっています。お祭りに出してみたところ大変好評だったので、商品化したいという思いが強くなりました。
 大高前全青連会長が宮崎にいらした時に事業化したいと相談したところ、小規模事業者新事業全国展開支援事業でやったらどうでしょうと助言をいただきました。それで商工会と一緒にプロジェクトチームをつくり、代表として本格的に取り組むために、事業主体のばあちゃん本舗を立ち上げました。
 母方のおばあちゃんの砂ずりの味噌漬けを再現したものですが、昔からの味を継承したかったので、味噌づくりから始めました。試作を重ねるうちに、ポン酢で風味をつけたり、燻製にすることで、懐かしさとともに、現代的な感覚を伴った新しい味が誕生しました。
 東京ギフトショーに、ばあちゃん直伝・田舎の珍味として出品したところ、味と匠のふるさとギフトコンテスト部門で、うれしいことに準グランプリを受賞しました。東国原知事に受賞の報告をしましたところ、珍味シリーズに「ブーブータン」などネーミングもしていただきました。

 

小園秀和さん

寺田 新しい事業に挑戦したのですから、当然、困難や壁にぶち当たったものと思います。課題や困難をどのように克服したのでしょうか。
宮本 第三セクターでという案もありましたが、免許を取得しなければならないので、宮本酒造店に付与してもらうのがベストということになりました。次に醸造ということになるのですが、十二年前に私が東広島の国税庁醸造研究所(現在は酒類総合研究所)の初代講習生として修業した時の先生がいらっしゃいましたので、市の助成を受けて当社の社員を研究所に送り、実体験して技術、ノウハウを習得しました。
 必要となる設備、運転資金については、県の制度融資を利用、発売に向けては、商工会加入の酒販店、飲食店をターゲットとし、商工会にあっせんをいただくなど関係団体が一丸となって販売にこぎつけました。二〇年には一万本体制で取り組むようにしていまして、商工会には、九谷焼のグラス二つと焼酎二本という専用のギフトセットを用意してもらっています。
小園 立ち上げの時に商工会職員にご苦労いただいたのはいうまでもありません。助成金を利用して、町の特産品を広めていきたいという私の思いを商工会長にぶつけたところ、プロジェクトのメンバーを集めていただきました。製造、パッケージ、販売と部会を分けてつくり、エキスパートバンクなどを活用しながら事業を進めました。
 プロジェクトには青年部員も多く参加してもらいましたが、デザイナーやイラストレーターもいて、大変恵まれたと思っています。また、女性部の方にもメンバーに加わっていただき、大いに力を発揮してもらいました。市の方でもマスコミへのPRをしていただきましたし、市長自ら市長会でPRするなどのご尽力をいただきました。現在はデパート、空港、物産館などに商品展開しています。

商工会を通じ融資の道を開く

寺田  商工会が一番役立った点はどういうところでしょう。
宮本 青年部としてのネットワークだけでなく、先輩諸兄とのネットワークもできました。市の主だった方とも面識ができました。こうしたことで特産品開発の流れができたのだと思っています。
「のみよし」を市内に広め、市外に発信していかなくてはなりませんが、免許の関係で市外の販売には縛りがかかっていますので、贈答品としたり、オーナー制度を設けるなど、今後も商工会やプロジェクトチームと相談しながら、商工会が用意してくれたギフトセットを含め、具体化を進めていきたいと思っています。
小園 右も左もわからずに加工品の分野に飛び込んで一番困ったことは、やはり資金面でした。商工会に相談して県の融資を受けられたのが大変ありがたかったです。

青年部活動を自社の発展につなげよう

寺田  最後に、後輩部員へメッセージをお願いします。

 

寺田範雄専務理事

宮本 試しの場として、青年部を利用してほしいと思います。新商品の開発や、新たな事業展開を考えた時、青年部で試してプロセスを学ぶことは、大変有意義だと思います。また、役職を経験すれば人的ネットワークが広がり、将来の自分、自社に必ず役立ちますから、その面でもどんどんチャレンジしてほしいと思います。
小園 先輩がやってきたことをそのまま継続するのではなくて、一からつくることも必要です。地域振興にしても、イベンターに任せるのではなく、直接交渉するなど自らの手でつくり上げていけば思いが地域の人に伝わるし、人脈も豊かになって自分の財産になるはずです。

* 詳しくは月刊「Shokokai」2月号をご覧下さい。