Vol.06 2007.10.10
発行/編集 全国商工会連合会
http://www.shokokai.or.jp/

「小規模企業に対する国の底上げ戦略について」

―中小企業庁 福水健文長官に聞く―


 国の成長力底上げ戦略に則り、経済産業省・中小企業庁は中小企業底上げ対策を積極的に実施している。そこで、福水健文中小企業庁長官に具体的取り組みについて聞いた。福水長官は中小・小規模事業者への再生支援、IT化、人材向上など経営改善を進め、将来の成長と地域の活性化を実現すると語り、商工会はその重要な担い手と大きな期待を示した。

Q1 まず、七月に新たに中小企業庁長官に就任され、
福水長官の今後の抱負について、お聞かせください。

今は、あらゆる面で、変化の時代にあります。そういう変化の時にどう対応していくかです。しかも、変化のスピードが早くなっていると思います。グローバルな大競争と激しい変化の時代に、中小企業も自ら変わっていく必要があります。そこで、行政の側もスピード感を持って対応していくことが非常に大事です。
 中小企業は、範囲が極めて広くて、多様化しています。ですから、中小企業施策もきめ細かく、わかりやすく対応することが大事だと思います。また、新しい制度をつくっても、四三〇万の中小企業の方々に理解してもらわないと活用してもらえません。日本で中小企業は企業数で約一〇割(九九・七%)、従業員数で約七割を占めています。ですから、中小企業は、日本経済の成長の源だと思います。中小企業が成長していかないと、日本経済全体が成長していきません。

Q2 わが国経済は、戦後最長の景気拡張期にあると言われていますが、
中小企業全体としての景況について、長官はどのように捉えていらっしゃいますか。

 わが国経済が、息の長い景気回復を続けている中、大企業に比して、業種や地域によって回復度合いにばらつきがみられております。また、中小企業の多くは未だ景気回復を十分に実感できていない状況にあります。特に今は、同じ業種や同じ規模、地域の中でも個々の企業によって大きな違いがみられ、一概に捉えられなくなっているということです。それだけに、きめ細かく、多方面から複合的な対応をすることが重要になっています。

Q3 今年の「骨太の方針」において「中小企業底上げ戦略」について掲載されていますが、
中小企業庁としてどのように中小企業の底上げを図っていくお考えでしょうか。

 中小企業は日本経済の源であり、その生産性を上げていかないと、日本経済全体が元気になりません。「中小企業底上げ戦略」は、「中小企業生産性向上プロジェクト」と「最低賃金の底上げ」という二つの部分からなっています。われわれとしては、この「中小企業生産性向上プロジェクト」を推進することを考えております。このプロジェクトにおいては、下請取引の適正化や中小企業のIT化の推進などの施策が盛り込まれております。これらについて、今年度からの三年間で集中的に取り組んでいきます。そして、中小企業の底上げを図っていこうと考えています。
 このプロジェクトにおける具体的な取り組みの一つとしては、業種別の「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」の策定があります。これは、生産性向上の成果を中小企業者にも波及させるため早急に措置が必要であった下請適正取引についてのガイドラインであり、今年六月二十日に甘利大臣、業界団体のトップが集まり、策定したものです。
 今後、さらに、本プロジェクトに沿って、中小企業の再生支援や小規模事業者への支援、IT化、機械化、経営改善を目指した施策を進めていきます。

Q4 平成二十年度概算要求が発表されましたが、二十年度中小企業対策の
重点ポイントをお聞かせください。

来年度の概算要求においては、中小、小規模企業の底上げを図り、将来の成長と地域の活性化を実現していきます。ポイントは、中小、小規模企業による活性化を目指す「地域」、意欲と成長可能性を有する中小「企業」、団塊の世代をはじめとする「人材」(ヒト)という三つの潜在力を発揮させることを考えております。
 具体的には、「地域」の潜在力の発揮として意欲ある小規模事業者への支援強化や地域中小企業の再生支援、「中小企業地域資源活用プログラム」の推進、まちづくりの推進や商店街の活性化、「企業」の潜在力の発揮として、中小企業の事業承継円滑化のための支援、下請適正取引の推進、資金調達の円滑化、中小企業のIT化、研究開発等の支援、「ヒト」の潜在力の発揮として、中小企業における人材能力の向上のための支援、新事業創出、創業の支援などの対策を要求していきます。

Q5 今のお話の中で「小規模事業者への支援強化」についてお話しされておりますが、
具体的にどのような内容でしょうか。

小規模事業者に対する具体的な支援策としましては、ITの活用を通じ企業の財務等の情報を蓄積し、会計・財務の透明化、経営課題の明確化など、小規模事業者の経営能力の向上を支援していきます。また、マル経融資(小企業等経営改善資金)の迅速かつ円滑な資金供給や、きめ細かな経営サポートに活用するため「小規模企業経営支援情報・金融連携事業」を要求していきます。
 さらに、地域に先進的なモデル拠点を整備し、生産性向上特別指導員と呼ばれるコーディネーターによる団塊世代の企業OBなど技術やノウハウを有する高度専門人材の派遣やその他の外部政策資源を集中的に投入していきます。そして、IT化、販路拡大など小規模事業者の抱える固有の課題に対応し、経営力の向上及び将来の成長に向けた努力を重点的、集中的に支援していきます。その際には、リレーションシップバンキングに取り組む地域金融機関の活用も図っていくこととしています。

Q6 最後に、地域の総合経済団体である全国連・商工会にどのようなことを期待されますか。

商工会は、相談・巡回指導を通じて小規模事業者に対するきめ細かな経営指導に取り組んでいます。また、まちづくりや地域の特産品開発を支援する地域の総合経済団体として、地域に密着した活動を行っていると認識しています。商工会に対しては、小規模事業者をはじめとする商工業者のために、今後もこのような取り組みを続けていただきたいと考えています。また、ジャパンブランド育成支援事業や地域資源全国展開事業などの国の施策を最大限活用していただき、地域の発展のために活躍されることを期待しています。
 全国連は、商工会が直面するさまざまな問題に対し、方向性を示す良きナビゲーターであるべきと考えます。全国連の役割は、小規模事業対策の重要な担い手である商工会が事業を円滑に実施していくためにますます重要になっていくものと考えます。今後ともより一層のご活躍を期待しています。

* 詳しくは月刊「Shokokai」10月号をご覧下さい。